レシピの話
フランス地方料理を巡る旅
先月ご紹介したガトー・オペラ。これをレストランでサービスされる時に、こんなご提案ができたら素敵ですね。今回は岩佐さん(メートル・ド・セルヴィスの会)にご寄稿いただきました。
スイスのホテル学校を出て、海外でメートルとして仕事をされていた岩佐さん。そのせいか読んだ瞬間、アルプス山脈と麓のレストランのイメージが浮かんできました。想像するだけで美味しそうです。ちなみに「夏山の麓ならアイスウィンナーコーヒーにBaileysをミストスタイル(※1)で!」ともご提案いただきました。暑いこれからの季節に良さそうですね。オリエンタルな提案など幅広いお酒の楽しみ方のつづきは、ぜひ本文でお楽しみください。
~ 第2章 ~
ワインの話
岩佐 和(いわさ わたる)さん(学士会館精養軒)
私の生業。
レストランに勤め、そのレストランの料理人が拵える(こしらえる)美味(おいしさ)をお客様へお届けする事です。
私はキッチンで料理人がチームを組んで、一生懸命料理を作る姿を見て育ってきました。
そのおかげで、ゲストや料理人に対する責任感の様なものが芽生え、それぞれに安心や感動を与えて行かなければならない。と思うようになっていました。
このお菓子はそんな私の生業の中でも、初期に現れた一つです。
今や、お菓子好きの方であれば誰もが知っているデザートですね。
このデザート。
幾層にも重なり、美しさと美味しさを兼ね備えています。
レシピを辿ると、濃厚で重そうな味わいを連想しますが、私が食べてきた中では滑らかなテクスチャーの中にバター、チョコレートにコーヒーのフレーバーがバランスよく広がる印象。
レストランでこのデザートを楽しむ時には...
アイリッシュコーヒーでしょうか。
テーブルサイドでメートル・ド・テルに作ってもらう!なんてどうでしょう。
縛りはありませんが、秋口から冬にかけてスキー場の麓の暖炉があるレストランなんて嬉しいですね。
専用のレショー(※2)でアイリッシュウイスキーを温めてフランベ、そこに美味しいコーヒーを注いでクリームを浮かべて。クリーム無しでシナモンを少し振って仕上げても良いでしょう。
勿論、お酒の種類を変えても楽しい。
▲アイリッシュコーヒーサービスに必要な器材。手前がウイスキーを入れたグラスを温めるレショー(FFCCのサービス講習会にて 写真:アートファイブ)
▲完成したアイリッシュコーヒー。サービスコンクール世界大会の課題にも出題されました。
もしくは、オリエンタルに紹興酒なんていかがでしょう。
中国は大手紹興酒酒蔵の会稽山(カイケイサン)が作る"云集"(ユンジー)。
善醸型と呼ばれるタイプのものです。
分かり易くは、一般的な紹興酒作りの仕込み水に若い紹興酒を用いる。と言う日本酒では貴醸酒の様なタイプと言えるのではないでしょうか。
このお酒、甘味はあれどクリアな甘みで比較的軽め・淡い味わいです。
お米から生まれるこのフレーバーはとの融合はアジア以外のゲストなら新しい発見としても楽しんで頂けるのではないでしょうか。
勿論、コーヒーとの相性は言わずもがな。酸味の強いキリマンジャロ産やコナ産のものと楽しみたいと個人的には思います。
さて、梅雨入りした今年も夏へと向かいます。寒暖差・熱中症には気を付けて。花火も見たい!
今週末は、贅沢にソーテルヌワインでかき氷を喰らいます!
Bon été!(良い夏を)
寄稿者:岩佐 和(いわさ わたる)メートル・ド・セルヴィスの会
学士会館精養軒 フランス料理 ラタン
マネージャー ソムリエ
メートル・ド・セルヴィスの会 幹事
APGF 2019年 第18回メートル・ド・セルヴィス杯 準優勝
<フランス料理用語注釈>
※1・・・ミストスタイル クラッシュドアイスを詰めたグラスに注ぐスタイル。グラスの表面が冷えて霧で覆われたようになることからこう呼ばれる。
※2・・・レショー(réchaud) 保温機のこと。電気やアルコールランプのものがある。
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