レシピの話
フランス地方料理を巡る旅
▲マントンのレモン祭り
ニースのカーニバルは、リオ(ブラジル)やヴィネチア(イタリア)と並び、世界三大カーニバルの一つと言われています。マルディグラの前後2週間に渡り行われ、今年も2/10~26まで開催されました。世界中から100万人もの観光客が訪れるフランス最大のお祭りです。これが始まると人々は春が来たと感じるのだそう。コロナで中止の年もありましたが、いつものカーニバルが戻ってきたのは嬉しいですね。ニースは365日のうち300日が晴れると言われます。地中海の温暖な気候でさぞや春が感じられることでしょう。 余談ですが、同じ時期にお近くのマントン(Menton)では「レモン祭り」が開催されます。世界有数のレモン産地としても有名な街ならではのお祭りです。マルディグラとは関係はないのですが、閑散期のリゾート地に人を呼び込みたいと始められたそうです。レモンやオレンジなど100トン!もの柑橘類で山車(だし)やオブジェを作って街中を飾ったりと独特です。今や30万人が訪れるお祭りに。この時期ニースに行かれたら、マントンも訪れてみてください。イタリア国境のもすぐ目の前。イタリアの雰囲気も感じられる街です。 さて、マルディグラに食べられるお菓ビューニュ・リヨネーズを前回ご紹介しましたが、これに合う飲み物について今回もメートル・ド・セルヴィスの会の岩佐さんに伺いました。一体どんなワイン?やお酒?が合うのでしょう。130種類もの植物からなり、そのレシピを知るのは数人だけ、と厳密に管理されている古いリキュールも登場しています。ビューニュと岩佐さんのお薦めを楽しみながら、春を待つことにしましょうか。
~ 第2章 ~
ワインの話
岩佐 和(いわさ わたる)さん(学士会館精養軒)
▲左がフランシュ・コンテ地方の「ペ・ド・ノンヌ(Pets de nonnes)」。右はリヨンで食べられる「ビューニュ・リヨネーズ( Bugnes Lyonnaise)」パリパリしたバージョンもある。
さて、今回はレストランシーンで登場するならばミニャルディーズですね。
エピソードにある様に、フランス国内の様々な土地で作られているお菓子。
軽くて、食感良く、柑橘も加わっていて芳香豊か。
お腹いっぱい食べた後でも、手が伸びる...
気付いたら頬ばっている。
私であれば、
①シャンパーニュのドゥミ・セックで贅沢に。
一番の贅沢な楽しみ方でしょうか。シャンパーニュと言うだけでなく、しかもドゥミ・セック。そしてロゼです。私自身、このタイプあまり飲む機会に授かることがありません。間違いなく素晴らしいひと時になるでしょう。
ビューニュとペ・ド・ノンヌ。このエアリーな質感とシャンパーニュだからこそのフィネス。ほの甘く、ほどよいの酸味が同調して口の中でふわふわっとしそうですね。
② シャルトリューズをミストスタイル(※1)でちびちびやりながら。
フランスのリキュールでも名の知れた歴史ある"シャルトリューズ"色違いだけでなくプレミアムなものもあります。個人的に好きなお酒です。奥ゆかしいあのハーブやボタニカル(植物性)のフレーバーに心地よい甘み。甘いものに甘みを合わせますが、食後にほんの少しちびちびと。決め手はミストスタイルです。
③ シャンブレ(※2)したプレミアム・ヴェルモットを小ぶりのブランデーグラスで小粋に格好つける。
カルパノ アンティカ フォーミュラ(古のレシピ)
ここでイタリアです。優良産地の白ワインにバニラ、サフランやニガヨモギを合わせて作られる門外不出のヴェルモットです。白ワインをベースに作られますがグラスに注げばアンバー色(琥珀色)です。揚げるこのお菓子の香ばしさと熟成から生まれるこの酒の酒質。バニラにカカオやナッツのニュアンス、クローブの様な深みを与えるスパイス香、落ち着きのある柑橘の果実感。カッコつけますからプティ・コロナスサイズのシガーを片手に煙にまかれながらじっくり自分を見直す時間になるでしょう。(笑)
④ カモミールティーで相乗するなんとも言えない心地よい口中に広がる香りをニコニコしながら。
この組み合わせは、一番わくわくします。とんでもないフレーバーの融合が起きそうな予感。そしてこのパターンだと脳裏には"健康"がありますよね。美味求心。より健やかに豊かな気持ちになって次の日を迎えたい。
このティーなら、まだまだたくさんの表現が出来ますね。
心落ち着く、継(つぎ)に繋がる、豊かになる。
昨今、飲食業界だけでなくとも忙しさから余裕のなさを感じる自分自身。修正しようにも追われて後手後手に。なんて考えてもしょうがないので、出来るだけ美味しい物を食べて心を豊かに、笑顔で皆様に会えるように楽しみましょう!
Quoi de neuf?(※3)
▲レモンが入った「ペ・ド・ノンヌ」
▲オレンジが入った「ビューニュ・リヨネーズ」
※1・・・ミストスタイル クラッシュドアイスを詰めたグラスに注ぐスタイル。グラスの表面が冷えて霧で覆われたようになることからこう呼ばれる。
※2・・・シャンブレ 室温にならすこと。
※3・・・Quoi de neuf? 新しいことあった? 最近どうですか?
▲春を告げる花、ミモザ
▲レモン祭り中、街中に現れる柑橘類でつくられたオブジェ。マントンは世界を代表するレモン産地
寄稿者:メートル・ド・セルヴィスの会 岩佐 和(いわさ わたる)
学士会館精養軒 フランス料理 ラタン
マネージャー ソムリエ
メートル・ド・セルヴィスの会 幹事
APGF 2019年 第18回メートル・ド・セルヴィス杯 準優勝
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