今年最初の「ワインの話」はメートル・ド・セルヴィスの会、長谷川純一さんにご寄稿いただきました。私も昔ブルゴーニュの特級畑を訪れた時、太陽の光がポカポカ当たり、爽やかな風が斜面を吹き抜け、なんて気持ちの良い場所なんだろう！と感じたことを思い出しました。ぶどうも同じ生き物、きっと気持ち良く感じているのだろうなと感じました。特に朝日が大切なのですね。「ナスのボニファシエンヌ風 & ブロッチュ入りコルシカ風オムレツ ミント風味」にソムリエ長谷川さんはどんなワインをお薦めいただいたのでしょう？　続きをぜひお楽しみください。

▲朝のぶどう畑

朝日とワインの関係

　コラムをお読み下さっている皆さま、ソムリエの長谷川純一です。本年もよろしくお願い致します。少しひんやりとした空気と、温かい日差しが心地よい新年。美しい「初日の出」を見た方も多いのではないでしょうか？

さて、私が以前にブルゴーニュを訪れたときに、

「畑のグラン・クリュ（特級畑）やプルミエ・クリュ（1級畑）はどうやって昔の人は決めたのですか？」

という素朴な疑問に、

「ブドウの樹が朝日をたくさん浴びることができる畑を修道士の人たちが区画（Clos）を区切って決めていったのよ」

と優しく教えてくれました。だからブドウ畑は日当たりの良い斜面に多かったり、その中でも斜面の中腹には世界を代表するワインを生み出すブドウ畑があったりすることを知りました。私たちも朝日を浴びると心も体もエネルギーが湧いてくるように感じるのと一緒で、ブドウにとっても光合成を必要とする中で、朝日というのは格別な光なのですね！

　さて、そんなお話をしたくなったのは他でも無い、今回のコルシカ風の「オムレツ」。
フレッシュのブロッチュチーズにミントの香り。そこに南フランスらしい茄子を土台とした野菜のファルス。テラス席や自然光を浴びながらワインと一緒に頂いたらとても美味しそうですね！

　私のオススメはフランスではスパークリングワイン発祥の地でもある南フランスらしく、伝統的なアンセストラル製法 ※1 で造られ、現代では「ペット・ナット」※2の名でも親しまれている弱発泡性スパークリングワイン。一次発酵のみで瓶内で自然と造られるナチュラルで優しい泡立ちが心地よく、難しくない、そして楽しい気持ちになれるワインです。オムレツの食感と共にフレーバーのハーモニーをお楽しみください。

新年なのでもう一声！

　ということで、コルシカ島といえばナポレオンの生誕地でもありますので、料理からのストーリーも汲み取りナポレオンがこよなく愛したと伝えられるコルシカ島やプロヴァンスのブドウ品種「ヴェルメンティーノ」の白ワインもまた素晴らしいマリアージュです。太陽の恩恵を受けたこのワインは、華やかな香りとドライでありながらも厚みのある豊かなテクスチャを感じる味わいで野菜の旨みをたっぷりと引き出してくれます。

更に更に新年なのでもう一声！

　赤ワインは俺のフレンチ・イタリアなオススメです。コルシカ島のすぐお隣はイタリア。 トスカーナ地方のキャンティに代表されるブドウ品種「サンジョベーゼ」」はコルシカ島では「ニエルッチョ」の名で親しまれています。サンジョベーゼは様々な表情を持つブドウ品種ですが、今回のお料理にはクラシッコな熟成が長いタイプではなく、フルーティーで果実味が溢れるサンジョベーゼのワインを「少し冷やして」楽しんで頂くとチャーミングに心が躍るマリアージュが楽しめることでしょう！

美味しい料理とワインで皆さまの2023年が素晴らしいヴィンテージになりますように。

※1･･･アンセストラル製法（Methode Ancestrale)
発酵途中のワインを瓶に詰め、残りの発酵を瓶内で行う製法。瓶内で発酵時に発生する炭酸ガスがワイン中に溶け込み、弱発泡性ワインとなる。発酵が完了したワインを瓶詰し、糖や酵母を添加して瓶内2次発酵を行うシャンパン方式に対して、アンセストラル方式は糖や酵母を添加しない。

※2･･･ペット・ナット（Pét・Nat）
Pétillant Naturelの略称。野生酵母で発酵させ、糖の添加を行わず、濾過や清澄作業を殆ど行わない、自然派ワインのスパークリングワインやその製法のこと。王冠で打栓されていることが多い。

▶厨BO!YOKOHAMAではFFCCと共に様々なセミナーを開催しています。こちらもご覧ください。
▶ スチコンレシピ集でも毎月新しいレシピをご紹介しています。ぜひ見てみてください。