レシピの話
フランス地方料理を巡る旅
12月に入りイルミネーションが街を美しく彩る季節になりました。ノエル(Noël/クリスマス)にちなみ、スモークサーモンの作り方とそれを使った「スモークサーモンとキュウリのドーム包み」を前回ご紹介しました。キュウリと生クリームにライム果汁をたっぷり加えて包み込んだレシピ。どんなワインが合うのかメートル・ド・セルヴィスの会の長谷川 純一さんにご寄稿いただきました。長谷川さんはキッカファルス ブルターニュ風ポトフ(2)以来の登場です。
このレシピ、意外にも難しい取り合わせのよう。なるほど!なご提案で、ワインの楽しさを再発見しました。ぜひお気に入りのワインを見つけてみてください。
▲クリスマスシーズンのギャラリー・ラファイエットのデパートの店内
~ 第2章 ~
スモークサーモンのキュウリのドーム包みのワインの話
長谷川 純一(はせがわ じゅんいち)さん
(俺のフレンチ・グランメゾン 支配人兼シェフソムリエ)
ワインとのマリアージュがとても難しい『キュウリ』
年末は忘年会やクリスマスなどイベントが沢山!ワクワクする方も多いのではないでしょうか?食卓も自然と華やかになり2022年への感謝と新しい年への期待が高まる中で、お食事の時間をより一層楽しみたいですね!
今回のお料理は「スモークサーモンとキュウリのドーム包み」。実はこのお料理、一般的にお料理とワインのマリアージュが成功しやすい「サーモン」と、一方でワインとのマリアージュはとても難しいと言われている「キュウリ」という2つの相反する素材が一緒になっているお料理なのです。
今回のサーモンはスモークの香りを纏っていてワインのミネラル分や香りをしっかりと引き立ててくれます。一般的にはハーベイシャスな香り(ハーブの香り)が特徴のブドウ品種「ソーヴィニヨン・ブラン」との相性が良いことで広く知られている素材です。
キュウリは特有の瓜(ウリ)の香りと、保有する水分量が多いのでワインの香りや味とぶつかってしまうことが多いですね。良く冷やしたスパークリングワインと合わせると爽やかさが引き立ち暑い時期には美味しく楽しめますが今は冬 ...どうしましょう??
そんな時に是非オススメしたいのが「ロゼワイン」。ロゼワインは日本ではイマイチ人気が無く、その理由は「甘い」という印象が強いようですが、今はほとんどが「ドライ」な味わいのロゼワインが主流です。ヨーロッパでは白ワインよりロゼワインの消費量が多い国もあるくらいに人気です。特にロゼワインのメッカでもあるフランスのプロヴァンス地方やコルシカ島では青い海と美しい色調のロゼワインのマリアージュが想像するだけも最高にオシャレです。ロゼワインの色調の表現にも「サーモンオレンジ」や「サーモンピンク」という言葉を使用しますが、サーモンとの相性は抜群!更にキュウリの爽やかな香りと、クリームの乳酸感を上手に引き立ててくれます。
白ワインの個性と赤ワインの個性を併せ持つロゼワイン。最初はキリっと冷やして少し炭酸で割ってドライなロゼワインのスプリッツァーカクテルで乾杯。お次は前菜に合わせてそのまま冷やして楽しんで、今度は敢えて冷やさずワインの温度が少し上がったころでお肉料理と、そして最後はシロップと氷を入れてスイート・ロゼをデザートとご一緒に。まさにロゼワインのフルコースの誕生です。この機会にぜひお気に入りのロゼワインを見つけて頂き、素晴らしいクリスマスをお過ごし下さい♬
寄稿者:メートル・ド・セルヴィスの会 長谷川 純一(はせがわ じゅんいち)
俺のフレンチ・グランメゾン 支配人兼シェフソムリエ
メートル・ド・セルヴィスの会 幹事
第 7 回 JALUX WINE AWARD 準優勝
第6回全日本最優秀ソムリエコンクール セミファイナリスト
第16回メートル・ド・セルヴィス杯 全日本大会 優勝
第6回 CGB世界サーヴィスコンクール パリ大会 準優勝
チーズプロフェッショナル、ワインプラスカレッジ講師ワインプラスカレッジ講師 他
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