レシピの話
フランス地方料理を巡る旅
前回ご紹介したブルターニュ地方のそば粉を使ったポトフ、「キッカ・ファルス」。これに合うワインのご提案を、今回はメートル・ド・セルヴィスの会の長谷川 純一さんにご寄稿いただきました。ソムリエとしてだけでなく、レストランサービスパーソンとしての知識と技術を総合的に審査する国内コンクール「メートル・ド・セルヴィス杯」でも優勝し、世界コンクールでも準優勝を果たされるなど多方面で活躍されています。そんな長谷川さんが提案するワインとは? マリアージュを考える際のポイントにも注目です。では、今月のワインの話にまいりましょう。
▲キッカ・ファルス(ブルターニュ風ポトフ)の材料。中央上はそば粉。卵などと混ぜ合わせ、布で包んで野菜や肉と一緒に煮込む。
~ 第2章 ~
キッカ・ファルスのワインの話
長谷川 純一(はせがわ じゅんいち)さん
(俺のフレンチ・グランメゾン 支配人兼シェフソムリエ)
『汁物とワイン!?』
なかなかイメージの湧かないマリアージュの一つです。皆様もご存じの通りワインは原料に「水」が含まれません。ブドウ本来の水分だけで出来ているお酒です。そんなことからも水分をたっぷりと含むスープや鍋物に代表される料理とワインのマリアージュの考案には頭を悩ませる方も多いのではないでしょうか?
私はマリアージュの法則として、味わいを合わせていくのはもちろんですが以下のことを大切にしています。
■ワインと料理の『色』を合わせる
■ワインと料理の『郷土』を合わせる
■ワインと料理の『格』を合わせる
これを意識することで各国の文化の尊重や一人一人のお客様に「目配り、気配り、心配り」が行き届いたマリアージュが提案できるからです。
今回のキッカ・ファルスはそば粉を使用したポトフのお料理。『ジュ=出汁』の旨みを優しく感じられる料理に併せて『Sur lie(シュール・リー)』の白ワインはいかがでしょうか?通常は製造の早い段階で切り離してしまうワインの澱(オリ)ですが、翌年の春までゆっくりと澱と共に熟成させたこのワイン。お味噌汁の上澄みのように、澱の旨み=イーストの美味しさが上品に溶けでる味わいがスープの旨みに優しく寄り添います。フランスではブルターニュの近くのロワール地方ナント地区で造られる「ミュスカデ」のワインが有名ですが、そば粉を使用しているキッカ・ファルスには、シュール・リー製法で造られた日本の「甲州」もオススメです。まさにフランコ・ジャポネ。文化を超えた素敵なマリアージュをお楽しみ下さい。
寄稿者:メートル・ド・セルヴィスの会 長谷川 純一(はせがわ じゅんいち)
俺のフレンチ・グランメゾン 支配人兼シェフソムリエ
メートル・ド・セルヴィスの会 幹事
第 7 回 JALUX WINE AWARD 準優勝
第6回全日本最優秀ソムリエコンクール セミファイナリスト
第16回メートル・ド・セルヴィス杯 全日本大会 優勝
第6回 CGB世界サーヴィスコンクール パリ大会 準優勝
チーズプロフェッショナル、ワインプラスカレッジ講師ワインプラスカレッジ講師 他