レシピの話
フランス地方料理を巡る旅
太陽の恵みを受けた肉厚な赤ピーマンは、プロヴァンス料理には、欠かせない代表的な野菜です。
色も赤、黄、オレンジ、緑ととてもカラフル。サイズもいわゆるジャンボピーマンから日本の一般的な緑ピーマンの大きさまで様々です。
この赤ピーマンを使ったレシピのご紹介です。
南フランスやイタリアでは前菜の一つとして、また前菜盛り合わせの一つとして良く見かけるものですが、ここではお好みでタップナードを加えながらいただきます。
タップナードはクネルにして添えれば赤ピーマンだけでも立派な前菜に。
こちらのレシピは疲れが取れそうなくらい赤ピーマンに酸味が効いています。
タップナードの塩味と旨味が絶妙に味を引き立てます。
材料
<材料>(6人前)
- 赤ピーマン:3個
- 松の実:適量
- パセリ:適量
- (マリネ液)
- にんにく(エクラゼ ※1):40g
- オリーブ油:300ml
- タイム、ローズマリー、ローリエ:適量
- 塩・コショウ:適量
- 白ワインビネガー(マイユ社):30ml
- (タップナード)
- 黒オリーブ:50g
- アンチョビ:5g
- ケッパー:10粒
- オリーブ油:適量
- にんにく油:適量
- タイム:適量
<フランス料理用語注釈>
※1・・・エクラゼ( écraser) 押しつぶす
作り方
ガス直火パターン
- 赤ピーマンを丸ごと網にのせ、直火で、表面の皮を焦がし焼く。
- 途中、天地を返し、全体を焼く。
- 氷水にとり、皮と種を取り除き、水気をよく切り、3cm幅に切り、軽く表面に塩・コショウする。
- 鍋にマリネ液(白ワインビネガー以外)の材料を入れる。
- プラックの端に置き(または極弱火で)、ゆっくりとオリーブ油ににんにくとハーブの香りをうつす。
- カットした赤ピーマンを加え、しばらくしてから、火から下ろし、粗熱をとる。
- 白ワインビネガーを加え、バットか保存ビンに入れ、冷やす。最低一晩マリネする。
- 器に盛り付け、ハーブとローストした松の実、タップナードを添える。
スチコン+ガス直火パターン
- 赤ピーマンを丸ごとスチコンで加熱する。ホットモード・100%・270℃・10分・風量4
- 途中、天地を返し、表面が少し焦げるまで焼く。スチコンから出し時間をおき、皮離れをよくする。
- 氷水にとり、皮と種を取り除き、水気をよく切り、3cm幅に切り、軽く表面に塩・コショウする。
- 鍋にマリネ液(白ワインビネガー以外)の材料を入れる。
- プラックの端に置き、ゆっくりとオリーブ油ににんにくとハーブの香りをうつす。
- カットした赤ピーマンを加え、しばらくしてから、火から下ろし、粗熱をとる。
- 白ワインビネガーを加え、バットか保存ビンに入れ、冷やす。最低1晩マリネする。
- 器に盛り付け、ハーブとローストした松の実・タップナードを添える。
タップナードの作り方
シェフエピソード
私がフランスのレストランの調理場で使っていたのは、主に大きいサイズの「ポワブロン」でした。前菜のサラダやテリーヌ、ムースやヴァヴァロア、魚や肉のガルニチュール(付け合わせ)として様々に調理されていました。
働いたどの地方でも夏場のセゾン(季節、時期)には、毎日、シェフが市場から箱ごと買ってきて、各ポジションで仕込むのですが、満席につぐ満席なので、1日で使い切っていましたし、また赤ピーマンは、色素が強く、仕込みやサービス中にコックコートに染みが着くために、着替えや洗濯に苦労した覚えがあります。
この「赤ピーマンのマリネ」は、赤だけですが、黄色だけのものとかすべての色を混ぜたものとかも見たことがあります。調理法としては、「マリナードには、火を入れない。」「最後にビネガーは入れない。」等の方法が一般的かもしれません。今回の調理法は、マルセイユ出身の当時の同僚から仕事の合間に教えてもらったものなので、彼のママのオリジナルかもしれません。
赤ピーマンの料理に関して言えば、プロヴァンスでは、マリネやグリエ、ラタトゥイユ、肉詰めなどがポピュラーですし、バスク地方に行けば、卵と生ハムを加わえてピマン・デスペレットで風味付けした「ピペラード」が有名です。
スペインのカンタブリア地方では、小さめの赤ピーマンに蟹クリームを詰め、衣をつけて揚げ、海老系のサルサをかけた郷土料理も経験しました。休憩時間に行くバルのタパスにも様々な組み合わせでシンプルに調理された赤ピーマン料理がこれでもかと言うくらいに並んでいました。(シェフM.T)