活動の軌跡

開催報告

「進化するフレンチ~ネオクラシックとは何か」石井剛氏(MONOLITH)

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2023.2.20 開催 
アーカイブ動画は3/20まで受付中

【第一部】石井剛シェフによる調理実演

◆Sole bonne femme 舌平目ボンヌファム風

B1_W600_20230220-21.jpg1品目は、トラディショナルなフランス料理「舌平目ボンヌファム風」です。

今回のテーマ「ネオクラシックとは何か」にもある通り、従来のルセット(レシピ)を見直し、シェフ独自の解釈を加えて再構築するという考えのもと、オリジナルの「舌平目ボンヌファム風」をご披露いただきました。

従来のものよりも材料の構成がグレードアップし、トリュフやホタテ貝のムースも加わり、そして火入れも「ポシェ(茹でる)」や「ブレゼ(蒸し煮)」から「バプール(蒸気蒸し)」に変更し、より香り高い高級フランス料理として表現されていました。

石井シェフの構成力で味わいはあくまでも軽やかに、繊細に、オリジナリティ溢れる美味しい一皿でした。

アーカイブ動画をご覧いただくとわかりますが、シェフの調理作業の手つきがとても繊細で、参加者の皆さんもモニターを終始興味深くご覧になっていました。慣れない調理機器で仕上げの焼き色がシェフ的にうまく付かなかったのですが、すぐにやり直す等、料理に妥協を許さない真摯な姿勢も垣間見ることができました。

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舌平目ボンヌファム風

◆Pigeon en croûte
 ピジョンのアンクルート

B3_w600_20230220-18.jpg二品目は、「ピジョン(鳩)のアンクルート」です。

石井シェフはパイ包み料理をとても愛していて、日々「モノリス」の厨房で並々ならぬ工夫を施してさまざまなパイ包み料理を創造していらっしゃいます。

今回の「ピジョン(鳩)のアンクルート」も「フェラーリ(イタリアの高級車)」と呼ばれるほど、これまたオリジナリティ溢れる考え抜かれた一皿でした。

まず使用した型も特注で、他とは一線を画します。

パイ包み料理の唯一の弱点である「底が湿って焼ききれず、食感が悪くなる」をアーモンドパウダーを使って解決するという秘伝も惜しみなく教えていただきました。

クラブ アトラスのシェフの方々も口々に、その解決策としては普通クレープか何かでファルス(詰め物)を包むと考えるところをアーモンドパウダーを使うとは・・・。「石井シェフはやはり凄い。」と仰っていました。

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パイを冷凍してから焼き上げるという点にも皆さん感心していました

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ピジョン(鳩)のアンクルート

仕上げのパイの包み方、ドレ(焼き色をよくするために溶いた卵黄を塗る)やレイエ(ペティナイフの背で模様の切り込み入れる)の入れ方などもとても丁寧に説明してくださり、その様子をやはり参加者の皆さんは食い入るようにご覧になっていました。石井シェフにセミナー後お聞きしたところ、一連の作業、仕上げの作業は誰にも任せずにシェフご自身でされるそうです。

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「完成したときに隙間がないことが大切」と石井シェフ

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(パイを片手で掲げて)「パイ包み界のフェラーリです」インスタで話題のショット。「これやってみたかったんだよね!」と楽し気な「ルメルシマン・オカモト」岡本英樹シェフ(左)。

【第二部】インタビュー

Q.石井シェフのレストラン「モノリス」について教えてください。

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渡仏して帰国し料理長を8年ぐらいしていて、35歳頃かな、そろそろ独立しようと考えていたときに、以前修業していた店から閉店すると連絡を受けました。あの場所は立地がいいと思っていたので、引き継いで開業することにしました。

当初は10テーブルでしたが、コロナ禍や料理のクオリティを考え、現在は5テーブルになっています。メニューは3つのコースで、今日お見せしたピジョンはコースではなく、追加料金という形で承っています。

Q.2021年、コロナ禍で「Mono-bis」(2号店)をオープンしたのは?

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Mono-bisウェブサイトより

「お一人さま歓迎」がコンセプトの9坪強のフレンチのお店です。コロナで空き物件が多く選びやすかったです。本店だと僕が料理をするのですが、このお店は若手の育成も兼ねて、肉や魚を焼くところもやってもらっています。経験を積んでもらう登竜門的な感じです。マニュアルやシステムを構築した上で思い切って若手に任せ、彼らもやりがいを持って働いています。

続いてクラブ アトラスシェフたちにインタビューです。
皆さん自分のお店を運営していますので、全てリアルな肌感覚のお話です。

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左から「ペタル・ドゥ・サクラ」難波秀行シェフ、「シェ・フルール横濱」飯笹光男シェフ、「MONOLITH」石井剛シェフ、「ルメルシマン・オカモト」岡本英樹シェフ、
「ラフィナージュ」高良康之シェフ

Q.今年のお店の抱負や取り組みは?

力を入れたいのは人材育成、それと地元横浜には良い野菜がたくさんあるので、それを探したり使っていきたい。最近の傾向として、ランチにお金をかける方が増加してきた。ランチの可能性がもっとありそうなので、考えていきたい。
--「シェ・フルール横濱」飯笹光男シェフ--

Q.価格高騰に対しては?

リーマンショック、東日本大震災、コロナによる世界情勢の変化など、その都度物価に向き合ってきました。信念として「この食材は高いから使えない」とは言いたくない。でも、例えばピジョンなら3,4割は値段が上がっているので、ランチ価格を1,000円上げました(ディナーは据え置き)。さらに食材を使い分けたり、ガス・電気をこまめに消したり、ラップを無駄なく使ったり。そんな工夫をしながら、使いたい食材で作りたい料理を追求しています。
--「ラフィナージュ」高良康之シェフ --

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参加者の試食16皿をシェフたち総出で盛り付ける

Q.食材や作り手とどのように向き合っていますか?

横浜市泉区にレストランがあるので、美味しい野菜を作る農家さんが周囲に多くいらっしゃいます。その農家さんとの会話にヒントがあることも多いです。作り手の思い、こだわり、栽培方法を知って料理に活かす。そして食べてくださったお客さまの声を、農家さんにもフィードバックしていく。意外な発見もあって、ある農家さんのゴボウが美味しくて、他と比べて違いは何だろうと考えたところ、前に育てた作物の違いではないかと農家さんが気づいて...。そうすると、農家、レストラン、お客さまという良い循環が出来てくる感じで、それは生きがいと言ってもいいくらい楽しいですね。
--「ペタル・ドゥ・サクラ」難波秀行シェフ--

Q.省力化や資源の工夫は?

コロナで従業員が減りましたが、最近はお客さまが戻ってきています。石井シェフの話にもありましたが、自分の店では若い子に料理を任せきれない。そこで「まかない」のときにテクニックを教えます。朝早くから夜遅くまでよく働いてくれるので、なるべく早く帰してあげたい。そして明日も朝から来てね、毎日来てねと(笑)。僕だけができる仕事(例えば事務的なこと)は皆が帰った後にやっています。それと先ほどラップの話がありましたが、ラップを輪ゴムで止めると、なぜかそのラップをはがした時に取っておいて再利用する。ラップだけだと、はがして捨ててしまうのに。最近気づいたんですが、人間の心理って面白いですよね。
--「ルメルシマン・オカモト」岡本英樹シェフ--

時折、脱線もあり、笑いもおきながら、シェフたちが惜しみなく工夫や今考えていることを共有しました。

【お客さまの声】

"フランス料理に対してあらためて学ぶことが多かった!大変勉強になりました!"

"シェフのInstagramをフォローしています。実際に見て食べて、自分の料理の方向性を再確認できる良い機会でした。またクラブ アトラスの配膳連携プレーも心地よく、楽しそうにしていたのが印象的でした。時間が足りず、特にコロナ終息後のこれからのことをもっと話を聞きたかったです。また開催されたら参加させていただきます。ありがとうございました。"

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ピジョンのアンクルート

セミナーの様子をアーカイブ配信でお楽しみください。
(お申し込み:2023/3/20 9時まで)

photo:アートファイブ(Mono-bisウェブサイト除く)

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