活動の軌跡
開催報告
東京ガス「お店のこと相談フェア」特別企画
『ラムバサダーによる味覚学とラム肉のオンラインセミナー』
〜 『味覚学』でひも解くジンギスカンのタレの新たな可能性 〜
開催報告
開催日 | 2021年 3月8日(月)15時~16時30分 |
講 師 | 宮川 順子 氏 料理人、ラムバサダー(ラム肉PR大使) |
講義&デモンストレーション | (前半)味覚学について (後半)ジンギスカンのタレ2種(ウイスキーベース、アヴォガドベース)の提案 |
主催 | MLA豪州食肉家畜生産者事業団 |
特別協力 | 東京ガス株式会社、厨BO!、フランス料理文化センター |
動画撮影会場 |
東京ガス業務用テストキッチン「厨BO!YOKOHAMA」 |
■ 講師紹介 ■
宮川 順子(みやがわ じゅんこ)氏
ラムバサダー(オージーラムPR大使)
講師/料理人
社団法人MIIKU日本味育協会 代表理事
株式会社ユーキャン 主任講師
(調理師講座、食育実践プランナー講座、介護食講座)
料理教室「Convivialite'Miyagawa」主宰
http://www.e-miyagawa.jp/
セミナーのテーマは『「味覚学」で紐解くジンギスカンのタレの新たな可能性』
ラムバサダーとして、また味覚学、食育のプロとして活躍されている宮川順子氏を講師に迎えてのオンラインセミナーが2021年3月8日「厨BO!YOKOHAMA」にて開催されました。健康に配慮し、今年はWEBで開催された東京ガス「お店のこと相談フェア」の一環として、オージーラムのPRに取り組んでいるMLA(豪州食肉家畜生産者団体)との特別コラボイベント。全国から100名を超える飲食店の方々にご参加いただきました。
『味覚学』というアカデミックな視点から羊肉に合う調味料や食材について、ジンギスカンのタレにスポットを当てたセミナーとなりました。
参加者には事前にMLAが作成した冊子テキスト(写真下)が郵送され、セミナー前半はこれを用いて、人間が「美味しい」と感じるメカニズムと味の設計方法を学びました。(セミナーの味覚学についてはページ最後の「味覚学セミナー概要」をご参照下さい)
2種類のタレの新提案
後半は2つの新しいタレを実演を交え、ご紹介いただきました。タレの一つ目はウイスキーをたっぷり用いたオリーブオイルとニンニク、リーペングソースを加え、バターで乳化させたもの(上の写真手前右下)。二つ目はアボガドとヨーグルト、チーズを使ったタレです(下写真手前左下)。どちらも数分で仕上がるものばかり。理論を理解すれば、簡単に美味しく、新しい味を生み出せることを実感しました。
最後は質問コーナー。講義中に寄せられた質問を紹介し、宮川先生に答えていただきました。数が多かったため、紹介しきれなかったものについては、後日参加者全員に先生からの返答を添えて発信されました。
講師の宮川順子氏(ラムバサダー)と司会進行役の三橋一法氏(MLA豪州食肉家畜生産者事業団羊肉担当)
最後に&感想
当日はその他の冊子テキストに掲載されているタレの味見もさせていただきました。中華エスニックタレの一つは、小口切りにしたニラに、ひたひたになるくらいの醤油を加え、ごま油を混ぜもの。混ぜただけにも関わらず、あまりの美味しさに驚きました。これだけでご飯がすすみそうです。醤油の塩分と風味がニラの強いうまみエキスを引き出し、ごま油がまとめているのだそう。ウイスキーを煮詰め、ニンニク、バター、リーペリングソースを加えるという斬新なこちらのタレは撮影会場で一番人気でした。アボガドとヨーグルト、粉チーズを混ぜたタレはコクがありながらさっぱり、豆腐やフルーツを使ったタレもあり、どれも羊肉にぴったり合います。タレを変えるだけで、肉の表情、味わいが変わり、食べ手にとっても味を変えて楽しめるため、飽きることがありません。
ジンギスカンや焼き肉店が増える今、オリジナルのタレやタレの種類を増やすことで、お店のファンを増やすきっかけになればこれほど嬉しいことはありません。
また、美味しさを感じる仕組みと味の組み立て方を知る事は、全ての料理に共通するテーマ。
味覚のメカニズムを理解する味覚学には今後も注目していきたいと思います。
■ 味覚学セミナー概要 ■
〜さらに詳しく知りたい方へ〜
この日のセミナーの内容が食肉速報や畜産日報で紹介されました。
食肉速報に分かりやすくまとめられていましたので、こちらに抜粋、ご紹介させていただきます。
「味覚は栄養物質の存在を脳に知らせる伝達システムで、「甘味」が糖質、「うま味」がタンパク質、「塩味」が塩化ナトリウム、「酸味」がビタミン類、「苦味」がミネラルの存在を唾液や咀嚼で分解された味物質として、舌全体や下の上下などにある無数の受容器で受け取って、信号として脳に知らせている。味覚には基本五味があるが、脳は口腔から五味信号と過去の食記憶や食についての知識などを統合して、「おいしい」「まずい」を決めている。このデータ料の違いは「おいしさ」のキャパシティーに大きく影響し、好き嫌いなどのし好や食への興味関心・楽しみなどを決定し、幸福感を左右する。
脳が「おいしい」という判断を下すシステムは体温が関係している。それは人が生きている証が体温にあるかれで、それを生み出す熱量素(3大栄養素)を食べるとおいしいと感じる。同システムは、メインとサブのスイッチによって成り立っている。脂質、糖質、タンパク質などの最小単位が唾液に溶けて口中にあるセンサーに付着し、体温維持に関連する油脂味、甘味、うま味と、心臓の拍動を導く塩味を合わせることで「おいしい」のメインスイッチを押すことになり、酸味、苦味のサブスイッチが押されることで「とてもおいしい」となる。さらにうま味の特性として、アミノ酸系、核酸系があり、アミノ酸系のグルタミン酸と核酸系のイノシン酸もしくはグルアニル酸をあわせると1足す1が7となるような「うま味の相乗効果」が確認されている。旨味成分を含む食材は何か知り、組み合わせることが重要となる。
これらの味覚に関するシステムを踏まえて、メインとサブのスイッチについて、絵画を描く例にとりながらメニュー開発の手順を考えると、メインスイッチが
①絵画の題材を決める(メイン食材の選定=羊肉、イノシン酸など)、
②イメージ、背景のトーンを決める(特徴的風味を選択=和食、洋食など)、
③決めたトーンに対応する配色を決める(メイン食材に合うサブ食材を選択)。
さらにサブスイッチは差し色やポイントカラーを決める(酸味と苦味、香りや刺激なども考慮する)。実用例は和風や中華エスニック、洋風など。
セミナー参加者は味覚のメカニズムを学び、羊肉と食材の相性を考え、うま味の相乗効果を理解することでラム料理の質を高めることが期待される。
(食肉速報2021年3月9日より抜粋)
ラム肉の魅力を発信する食のプロ集団、それが『ラムバサダー』。オージー・ラムのマーケティングやPRを行う食肉団体「ミートアンドライブストックオーストラリア(MLA)」が、日本市場で羊肉需要をさらに盛り上げるために『オージー・ラムPR大使』として様々なジャンルの食のプロフェッショナルたちをLAMB+AMBASSADOR=LAMBASSADOR ラムバサダー)に任命。ワークショップやイベント、SNSを通じて羊肉やオージー・ラムの魅力を日本全国に伝えている。ラムバサダーのサイト